紫は慣れてきたので、刷り色が予測出来る様になったのですが、
鮮やかなピンクは、毎回、失敗致します。
もう少し上品な色にしたかったのですが、宿題ということにして。
工房からの帰り道は、足元も覚束なく、
次回の作業をあれこれと考えながら、殆ど上の空で歩いているのです。
すると、どこからともなく、
「ネエちゃん、ネエちゃん、こっち、こっち」と声が致します。
気にしないで、尚も前へ前へと歩いていますと、
より大きな声が追いかけて来るのです。
それでも、バス停に向かって歩いていますと、突然真横に大きな顔が現れて、
「ネエちゃん、そっちと違うねん。
工事中やから、こっちこっちって、さっきから何度も言うてんのに、
ネエちゃん、あんた人の言うこと聞かんなあ!」。
ネエちゃん、あんた人の言うこと聞かんなあ!」。
小さい時から言われ続けて来た、「あんた人の言うこと聞かんなあ」を、
知らないオッチャンから言われて、謝りながらも笑い転げた、
帽子にメガネ、マスクにマフラーでネエちゃんに見えた私です。