2014年09月30日

名残の九月も

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  裁つように   岬多可子

  高みへひらかれて 空は葡萄色、
  あたらしい、これは 布の匂い。
  研がれ さえざえと 刃は走り、
  けれど 布、やわらかさしなやかさ ゆえ
  とりかえせない やりなおせない。
  翠いろの あまやかな躊躇 そして
  紫いろの ひそやかな意志。
  裁って 進む 重い鋏、
  尖端はどうやって とどくのか、
  果肉の、ようなものが 満ちて、空。


                小詩集「賦香紙」より 全行



posted by cocoacat at 21:55| 日記 | 更新情報をチェックする