ノルマの月詠10首も、1年が経てば120首に。
ただただ、あえぐだけで1年が過ぎました。
老後の楽しみも、なかなか大変ですが、
今月も、いざ。
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冬空の可視化限界ぎりぎりに魂(たま)を運びて猛禽の飛ぶ
寒鴉犬の如くに鳴き真似る冬日春日の真中の朝は
何処より薄き花びら弧を描き余光の中を沈まず漂う
知らぬ間に心奥に咲く花の香に蝶も来るなり蜂も来るなり
摩天楼聳え立つわが胸底のいつもの場所に春猫の待つ
茫茫と時の間(あわい)に浮遊する褪せた自分を迎え撃つ朝
若き僧カサブランカの花の香を静かに諫(いさ)めて読経始める
求めたる古書の中から一枚の海の向こうの書店レシート
哀しみは入れ子の様にいつまでも幽かな羽音で存在示す
亀に乗り賜りたしや玉手箱太郎のその後姫と興じて