流石の今井様。
午後7時前、
「出来ました〜。綺麗!汚れも味ですものねぇ〜」と、
颯爽と工房を後になさいました。
リトグラフでタブーとされている汚れを「味」と見做す今井サマ!
助っ人吉田は、疲れ果てて、机に突っ伏すのでした。
______

昨日、今井様の刷りの助っ人で必死になっている時、
矢島様が、アルミ板のストックの前をうろうろと、
何やら怪しげな動きをなさっていたのです。
「何や?何や?何であんなところに?」と一瞬思ったのですが、
暴走激しい今井様に気を取られていて、そのままに。
ところが、帰ろうとしている矢島様の右手を見ますと、
大きな、大きなアルミ版がしっかりと抱えられているのです。
「何なん?それどうしはんのん?」と訊けば、
視線を逸らせて、
「描画をして〜、土曜日に〜、持ってきます」。
目を閉じて思う、今井様と矢島様。
くわばらくわばら。