2020年04月30日

「翅」

  
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  翅        岬 多可子


  非常階段を えんえんと
  昇っていくと てんてんと
  翅だけが喰い残されている

  金気を帯びて鳴る体幹は
  いくらか 水や蜜や塩の
  味がするのだろうか
  鳥たちの嗜好の

  その鳥たちは 人目につかぬ陰で
  音立てて 喰い散らかし
  飛び去るのだろうか

  それが でも わたしの
  偏食かもしれない
  
                  掌詩集 「気象の余白」より全行
posted by cocoacat at 00:20| 日記 | 更新情報をチェックする