ようやくの最終日。午前3名、午後は4名の参加者。
着いて直ぐに昨日の赤の刷りのI様に、新しい版はと問えば、
差し出されたのがアクリル板3枚。
「2版と仰っていたのに、3版で赤のバッタを刷るのですね」と嘆けば、
「かまきりです」と小さなお声で。
この赤のかまきりの刷りに手間取り、昨日の赤の4版刷りに取り掛かったのが、
午後4時もかなりを過ぎてから。
他の作家3人も最終日とあって、込入った作業に入っていて、この段階で、
画廊との約束の午後6時を守ることは到底無理と覚悟をする。
お約束の6時過ぎから、どんどんと撤収は始まり、そんな中でも、
まだまだインクを必死で詰めるI様、その詰められたインクを必死で拭き取る、わたくし。
「I様、何故にこのように拭き取りにくい、赤を?」と訊けば、
「赤しか考えられなかったのです」。
ああ、そうでっか。
皆様の視線が更に冷たくなる中、
「I様、視線が厳しくなる一方ですが、気付かない振りで集中いたしましょう」。
「はい」
二人の両手は真っ赤っか。
お待たせ致しましたの午後6時半、
最後の刷りに漕ぎ着け、全員が見守る中、
くるくる、くるくる、く〜るくる、雅にハンドルを回し始めるI様。
1版、2版、3版が無事に刷れ、
がんばれっ!と同時に、些かの揶揄も入っての、ダンスを始めたのが、
ひとり、続いてふたり。
「何の踊りですか?」と、刷りながら気を取られるI様に、
「惑わされてはなりません。くるくるに集中するのです」と叫ぶわたくし。
「はい」。
午後6時40分、褐色のBFKの紙に4版刷りの赤は、きれいに刷り上がりました。
帰り支度中のI様。
スタッフの皆様、遅く迄ありがとうございました。
posted by cocoacat at 00:11|
日記
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