2016年07月31日

とろける くずれるのが 夏

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  白濁    岬多可子



  未明 でももうじゅうぶんに


  湿って 飽和している 身の、


  おきどころのなさよ。ゆるゆると


  光をとどまらせ かためたのが


  ぜりい 葛 寒天、


  半透明の白濁の、


  五官の 伸びていく尖端の ふるふると。


  情と欲 分けてはみても 黒い蜜、


  ぬるんだところから ぞうさもなく


  とろける くずれるのが 夏。


               掌詩集 「色を熾(おこ)す」より全行

     


posted by cocoacat at 05:59| 日記 | 更新情報をチェックする