青 岬多可子
まだ。気が済むまで降らせて。
ひたりひた と濡れて なにもみな 青。
青梅 青胡桃 青葡萄、
鬼灯もまだ焔にならない。
若いうちの酸っぱさ苦さ、かたくなな毒。
雨なんて
それから どれくらい降ったかわからない。
いつかは ゆわゆわと あまくなり
それでも さりさりと 棘の味。
初(そ)めて青、闌(た)けて青。
掌詩集 「色を熾(おこ)す」より全行