裁つように 岬多可子
高みへひらかれて 空は葡萄色、
あたらしい、これは 布の匂い。
研がれ さえざえと 刃は走り、
けれど 布、やわらかさしなやかさ ゆえ
とりかえせない やりなおせない。
翠いろの あまやかな躊躇 そして
紫いろの ひそやかな意志。
裁って 進む 重い鋏、
尖端はどうやって とどくのか、
果肉の、ようなものが 満ちて、空。
小詩集「賦香紙」より 全行
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